SHARE LOCO LABO RECRUIT by Joblab Gunma
シェアロコラボ|リクルート
コンセプト
SHARE LOCO LABO が目指す未来~アンケート結果を通じて~
シェアロコラボリクールトリサーチ活動結果
本プロジェクトでは、2019年から2020年にかけて、桐生みどり市内の5つの高校(A校~E校)、高校2年生と3年生の合計2068名にアンケートを実施し、就職先として気にすること、どのように企業情報を収集し、どのように決めているか?などについてアンケートを行いました。

Q 職場を選ぶ上で気にすることは?
上記問いに対して、複数選択可として回答を収集しました。
有名かどうか/テレビや新聞で見る・・・<知名度>
設立が古いか/会社規模の大きさ/売上高/社員数・・・<安定度>
業務内容の透明度/企業内レクリエーション/離職率・・・<職場の雰囲気>
昇給の有無/各種手当ての有無/有給休暇取得日数・・・<処遇待遇>
*ここで掲げている項目を分類するとこのように分かれています。
大きく分けて4つに分類できる内容です。高校毎と全体の数字を出しています。各パーセンテージは、「総数に対して何人がその項目にチェックを入れたか?」を示すものです。
<知名度>
高校によって大きくことなったのが興味深い結果でしたが、その他の項目を見る限りでは、それほど重要視されていない印象です。「有名だから働きたい」という動機は大きな要素でないと言えます。このことから「知られていないから就職希望者が少ない」という仮説や予想の確度は低いのかもしれません。
<安定度>
「設立」、「規模の大小」、「売上高」、「社員数」という4つの項目は、その会社が安定しているか、将来にわたっても安心して働けるか?ということを示す指標として考えていました。高校ごとに差があるにせよ、相対的に言えるのは、「会社規模」という抽象的な言葉だけが先行し、それらを形作る要素、についての意識が低い傾向が伺えます。特に、売上高について高校毎に見ると5%~21%と4倍もの差、社員数においては0%~18%でした。
教育現場においては、会社そのものが社会においてどのような役割を担っているのか、ということに対しての意識を醸成させることが必要に感じました。
また、一方で、会社側においては、会社を主語にした過去、現在、未来へとつながるストーリーとそのストーリーの中で活躍する社員という関係を可視化することも働くことへの意識を高め、企業への興味関心を醸成できる効果が期待できます。
<職場の雰囲気>
業務内容の分かりやすさ、企業内のレクリエーション、離職率は、企業の職場の雰囲気を伝える要素という意図で用意した項目ですが、企業内レクリエーションについてはほとんどの方が気にしていない可能性が高い結果でした。むしろ、どんな仕事をしているのか、どのくらい辞めるのか(または、辞めないのか)という、分かりやすい部分への関心の高さが伺えます。
業務内容のわかりやすさ、については、別途個別にヒアリングした結果と合わせて考えると、会社が何を求めているか?ということにもつながるように感じます。つまり、会社の中でこれをして欲しいということが明確にあり、その業務自体に興味関心を持てるか?という視点で捉えている可能性が高いです。
しかしながら、採用側は単にその仕事をだけをやってほしいということではないと思います。その仕事を通して会社に貢献し、会社を通して社会に貢献し、会社と共に成長していくことでより良い暮らしをしてほしい、という考えているはずです。
その将来を見据えた会社の視点と、何をすれば良いのですか?という従業員の視点のギャップを踏まえたコミュニケーションが必要そうです。
<処遇待遇について>
高校毎に多少の差がありますが、昇給の有無、各種手当ての有無、有給休暇の取得数などは、他の項目に比べると関心度が高そうです。高校毎に割合に開きがあることも注目しています。
多くの就職希望の高校生は、見学にいきたい企業を2社程度選び、その中から就職へ結び付くかどうか、というのが実態です。しかしながら、学校で見る求人情報は、ハローワークから出ている情報と同じで、そうなると、給料や休日数のように、わかりやすい指標によって、見学希望が提出されている可能性が高いのです。
これまでの結果を通して考えると、新卒者は、働くことに対して漠然としたイメージで判断している可能性が高いように感じます。そこで、給与や休日数のように、単なる数字だけではなく、その裏側にある「会社で働くこと」に対しての経営者の考え方をしっかりと伝え、成長する会社の中の一員として、自分自身が活躍できる、そこに参加したい、と感じてもらえるような情報提供や情報発信が企業には必要だと感じています。

Q 就職先を決める上で不安なこと
企業選びのためのポイントについて、少し語句を変えて「不安なこと」という切り口で聞いた内容です。これは、そもそも働くこと、会社のこと、社会のこと、それらに対しての意識や知識が、どの程度備わっているか?という部分がわからなかったので、Q 職場を選ぶ上で気にすることは?の設問と合わせて分析することを試みました。
結果から言えば、選ぶために気にするポイントと、入ってからの不安が合致しておらず、働くことへの期待と不安が入り混ざっている中で、就職活動を行っていることが見えてきました。
やりがいを感じられる、楽しめるか、チャレンジできるか・・・<働くことへのポジティブな期待>
職場の人間関係、安定しているか、働きやすいか・・・<働くことへのネガティブな不安>
給与体系、各種手当て・・・<処遇待遇>
<働くことへのポジティブな期待>
やりがいや楽しさを感じたい、という期待を持つ一方、う仕事そのもののことがわからない状態では、チャレンジできるかという設問は適切ではなかった可能性がありますが、高校毎に差が生まれているのは、興味深い結果となりました。
<働くことへのネガティブな不安>
職場の人間関係と働きやすさは密接に関係しているが、人間関係だったり職場の雰囲気だったり、そのような場所に自分が馴染めるのかどうか、という不安を感じている人が多いことがわかりました。本アンケートを実施した際、他にもヒアリングした項目があり、それが「親が勤める会社がどんな会社か知っているか?」「親が務める会社で働いてみたいか?」という2つの項目でした。さらに、1年目にある高校の親御さん40名程度にもアンケートを取っているのですが、「親が務める会社を知っていて、親が務める会社で働きたくない」と答えた高校生のほとんどが「職場の人間関係への不安」を挙げていました。
あくまでもアンケート結果だけの分析にはなりますが、親が会社での愚痴などを家族の前で話している可能性があるのかもしれないと感じました。一方で、「親が務める会社を知っていて、親が務める会社で働きたい」と答えた高校生は、職場の人間関係への不安はやや少なく(10%程度)なる印象でした。
<処遇待遇>
企業を探す際には一番のポイントでしたが、不安な点という視点ではおよそ半分くらいのポイントに留まりました。この結果については、もう少し整理してヒアリングしていく必要があると感じています。この結果について、一つは「職場の人間関係」のように可視化されにくい部分への大きな不安の前では、処遇待遇の条件を了解していれば、不安を感じる必要はないのでポイントが減った可能性が考えられます。
これらの結果を踏まえると、「就職希望者は、処遇待遇を重視しているとは言え、それ以上に、その職場で自分が馴染んでいけるか、仕事をしていけるのか?ということへの不安の方が大きい可能性がある」と言えます。
これらのアンケート結果を通して、企業が企業情報をどのように発信すれば、採用活動につながるかのヒントになれば幸いです。
続いて、企業の情報をどのように収集しているか?についての分析です。また、合わせて、高校生は、誰と相談して就職希望先を決めたいか?についてもまとめます。

Q 就職先の情報収集は?
就職先の情報収集については、学校に届いている求人情報の割合が最も高いのですが、高校別に見ると、例えばD校では、85%であるのに対して、E校は59%とその差は25%で4人に1人という結果になりました。
しかし、他の数字と合わせてみると、D校ではそれ以外で見れば親や親戚に聞くのが一番高く、それ以外はほとんど伸びていません。一方で、E校はハローワーク、求人情報、求人サイト、チラシまで、全ての項目で一番高い割合になっています。この結果から、D校の学生が企業情報に対して受動的であるのに対し、E校の学生は能動的に企業情報を収集している可能性が高いと言えます。
働くことへの意識をどのように向上させていくかは教育現場の課題の一つと言えますし、逆に、企業がそのような意識向上の活動に協力することが望まれているように感じています。

Q 就職先、誰と相談して決めたい?
このアンケートについては、これまでの内容と異なり、各高校毎の割合にそれほど変化がなかったので、全体集計の結果のみまとめています。アンケートを通じて、親や先生に相談しながら自分で決めていく際、特に、親の影響は大きいことがわかりました。
しかし、ここで大きな問題があります。
親が知っている企業の数は?その企業がどんな仕事をして、どんな形で社会に貢献しているのか?もっと言えば、隣のご主人がどこに勤めていて、どのような仕事をしていて、年収は?休日は?など、地域の企業の情報について正しく認識しているか?がポイントになりそうです。
企業の噂話をお子さんに伝えれば、その情報も企業選びに左右してしまう可能性があることを意識する必要がありそうです。
<まとめ>
私たちは、今回のアンケートを通して、各高校のキャリア教育の違い、家庭環境の違い、様々な違いを実感しました。そのことが、若い頃の差はごく僅かでも、数十年の時を経ることで、僅かだった違いが、いわゆる「社会的格差」を生み出す一つの要因となる可能性を感じました。
プロジェクトを通し、いろいろな方とお話をしていく中で、若いうちに、働くことにしっかりと向き合うことが出来れば、その後の可能性はもっと大きく広げられるのではないか?と思うに至りました。高校を卒業し、就職活動をし、地域社会の一員となることは、その最初の一歩です。これから就職を目指す高校生の皆さんが自身の可能性を広げることは、この地域の可能性を広げることへとつながっていきます。皆さんの活躍を心から期待しております。
プロジェクトメンバー一同